由緒
室根神社は、本宮が伊弉冉命、新宮が速玉男命・事解男命を祭神とする旧県社。
養老二年、多賀城で蝦夷征代にあたっていた大野東人が朝廷に請い、紀伊国の熊野神を勧請したのが始まりと伝えられています。
神は、紀州国を出立し、海を渡たり、唐桑半島の細浦(現宮城県気仙沼市立)に辿り着き、
当時、鬼首山(おにかべやま)といわれていた室根山に鎮座の神意を表されたので、
大野東人らは矢越の郷民とともに白馬を仕立ててお迎えしたと伝えられています。
その道中でに粥をふるまわれるなど、多くの郷民たちの盛んな奉迎をうけ、折壁で仮宮を立て御神霊を安置しました。
その様子を再現するのが国の重要無形民俗文化財に指定された「室根神社祭のマツリバ行事(通称:室根神社特別大祭)」になります。
この祭事は、勧請の年の故事にもとづき、旧暦閏年の次の年に勧請の故事を再現する祭りを行う習わしとなっています。
古くは陸奥国七郡(磐井、江刺、胆沢、気仙、本吉、牡鹿、登米)の総鎮守として広く地方の崇敬を集めましたが、
現在も岩手県一関市、大船渡市、宮城県気仙沼市にまたがって、神役の子孫が散らばっており、祭事の度にその役割を担います。
本宮・新宮
室根神社 本宮
祭神:伊弉冉命
半纏:⚪︎
室根神社 新宮
祭神:速玉男命
事解男命
半纏:◇
室根町について
岩手県一関市の東端にある室根町は、約4,400人が暮らす、大らかな自然に育まれた小さなまちです。
「星空の街」にも選定された夜空や室根山を真っ赤に染める「つつじ」、地域住民の活動で灯される続けている「中津川イルミネーション街道」、宮城県気仙沼市と協力して30年以上前から行っている「森は海の恋人植樹祭」など地域資源とそこに住む人々が寄り添い暮らしています。
室根神社特別大祭の舞台のひとつである標高895mの「室根山」は地域に暮らす人々の拠り所です。